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つらつらと身勝手にいきます

ウルトラタワーというバンドがいた話

 

ウルトラタワー最後の作品『灯火』は本当に素晴らしい。

ずっとずっと、名前だけ知っていたウルトラタワー

 

 

このアルバムは、本当に聴いた時の衝撃が忘れられない。

春先、夕方の阪急電車のホームは

彼らの音楽にドンピシャのロケーションだったのかもしれない。

 

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大濱健悟(Vo&Gt)の声は澄みきっていて、青さや優しさが印象的だが

それらと一緒に「何かに噛み付くような鋭さ」も確かに存在している。

バンドサウンドは心地よいギターロック。

でも、そこにあるのは若さや真っ直ぐさ、聴きやすさだけではない。

彼らの生きてきた人生が乗っかっている。

 

そんな印象。うん、ほんと素敵。

 

 

解散してもホームページを残すバンドは沢山あるけれど、

ウルトラタワーのそれはもうどこにも無かった。

魔法のiらんど”という何とも彼らの過ごしてきた時代を感じさせる旧ホームページには

解散して丁度5ヶ月の昨日にも少しの足跡がついていた。

 

残念な話、僕らは全くと言っていいほど売れませんでしたし結果も残せなかったですが、

好きと言ってくれたみなさんに恥ずかしい思いをさせない、

僕たちなりのいい曲をこれまで立派に作って来たと思っています。
僕たちは解散して、それぞれ違う場所にいきますが、

これからも残る曲達を長く愛して頂けたらと願います。

僕個人としてはまだ、この先何をするか決まっていません。

20代半ばにして無職です。ニートです。ですが何もかも失い、なくなる日々が

大きな不安を抱きながらも輝くように見えています。

                              寺内渉(Gt)のコメントより一部抜粋

 

”十代半ばから二十代半ば”というどう考えても青春の真っ只中を、

バンドという深すぎる仲で共に過ごしてきた仲間との別れって、どんなだろう。

”友達”というような優しい関係では決してやってこれなかっただろう。

それを思っただけで、全然事情も知らない自分が泣けてきた。

 

そしてふと、The SALOVERSの無期限活動休止を思い出した。

 

「4歳の頃にゆうた(藤川雄太・Dr)と出会い、6歳で清也(藤井清也・G)と出会い

 11歳でケバ(小林亮平・B)と出会ってから、僕らはずっとただの幼馴染です。

 サラバーズは、僕にとって自分の部屋そのものでした。

 でも、その青春のひと時もそろそろ終わりが来たようです」

 

「最後までわがままな僕は、自分たちの夢を叶えることよりも、

 彼らとこれからもずっと“ただの”幼馴染でいたいんです」

                              古舘佑太郎 コメントより一部抜粋

 

 

youtu.be

 

ウルトラタワーの解散と彼らの休止は、また違う話。

しかし双方に言えるのは、ただの友達だった彼らがバンドという形となり、

若くして音楽業界にしっかりと生きて下した決断、ということだろうか。

 

The SALOVERSが最後に出したミュージックビデオは、

オトナになったかつてのロックキッズたちの成長した姿だ。

彼らはまだ若いのだけれど。

 

少年は大志を抱きすぎて死んだ

そして生まれ変わるのさ

                  Disaster of Youth 歌詞一部抜粋

 

良い音楽が正当に評価されて欲しいけれど

世の中は難しいことや不条理なことばかりだ。

 

彼らもウルトラタワーも、まだまだ生まれ変わるのだろう。

 

 

夕方電車を待つ駅のホーム

どうしようもない気持ちになる時や

好きな人を想う眠れない夜の中

 

 

また聴きたくなるその日まで

どうか色あせないで。